柿原医師

当院がマンジャロを「クリニックで注射する」方針に変えた理由 マンジャロの転売が問題になっています

こんにちは。院長の柿原です。

今回はマンジャロに関する記事を書きたいと思います。

当院でも取り扱っているマンジャロですが、最近、世間的にいろいろと話題になっています。それに関連して、当院の運用方針を変更しました。その理由をお伝えしたいと思います。
この変更に伴い、みなさまにとって当院でのマンジャロ購入が不便になったかと思います。しかし、みなさまにより安全に使用していただくための変更であることをご理解いただきたいと思っております。

最近のマンジャロをめぐる状況

マンジャロ問題

2026年5月、東京都保健医療局健康安全部薬務課の公式Xアカウント(@tocho_yakumu)が、マンジャロをSNS上で無許可販売しているユーザーに対して「医薬品であるマンジャロを許可等なく販売等することは医薬品医療機器等法に違反します。直ちに販売を中止して下さい」と直接リプライを送る対応が大きな話題になりました。
行政機関がSNSユーザーに直接警告を送るのは異例の対応で、現在も継続的に警告が行われています。

さらに翌月の2026年6月には、大阪府警がSNSでマンジャロを転売するために無許可で保管・販売したとして、20〜30代の男女3人を医薬品医療機器等法違反の疑いで書類送検しました。大阪府警は「マンジャロを巡る事件の摘発は異例」とコメントしています。

これだけの動きが短期間に起きているということは、それだけマンジャロの転売・個人間売買が社会問題化しているということです。

韓国でも深刻化するマンジャロ問題

マンジャロをめぐる問題は日本国内だけではありません。2026年9月、韓国でも深刻な事態が報じられています。

一つ目は偽造品の問題です。
韓国の仁川空港で、インドから国際郵便で違法に持ち込まれたマンジャロの偽物の摘発が相次いでいることが韓国関税庁によって明らかにされました。
摘発された偽造品には製薬会社のロゴまで印刷されていましたが、薬からは基準値を超える成分と不純物が検出されています。

二つ目は日本からの密輸問題です。
韓国ではマンジャロの価格が日本の2倍以上とされており、円安の影響もあって「旅費を加えてもお釣りがくる」とSNSで話題になり、マンジャロを入手するために日本を訪れる韓国人が急増しています。日本のクリニックがSNSで聖地として紹介される事態にもなっており、正規の税関手続きを踏まずに持ち帰るケースが横行、日韓往来にまで支障が生じかねない状況になっています。

そもそもなぜ転売が問題なのか

マンジャロは医師の処方箋がなければ受け取れない「処方せん医薬品」です。販売業の許可を持たない個人が他人に売ったり、販売目的で保管したりすることは薬機法違反にあたります。

厚生労働省も公式Xアカウントで「マンジャロ、リベルサス等の糖尿病治療薬を、SNSなどで許可なく販売するのは薬機法違反です。自分の勝手な判断で使うと思わぬ健康被害のおそれがあり、見知らぬ人からの購入は偽造品のリスクもあるので大変危険です。絶対『売らない・買わない』、ご注意ください。」と注意喚起を行っています。

法律の問題だけではありません。転売品には以下のような重大なリスクがあります。

  • 温度管理の問題
    マンジャロは品質を保つために冷蔵保存(2〜8℃)が必須の薬です。個人の自宅でどのように保管されていたかわからないものは、成分が変質している可能性があります。
  • 偽造品のリスク
    パッケージだけが本物で、中身が全く別の成分という偽造薬の事件が国内外で起きています。報道によれば、2026年2月には英国の規制当局が有効成分の代わりにインスリンが封入された偽造マンジャロについて緊急警告を出したとされています。
  • 副作用が起きても医師のフォローが受けられない
    正規の医療機関で処方されたものであれば、万が一副作用が出た際に医師がすぐに対応できます。転売品や個人輸入品ではそれができません。

当院が「その場で注射する」方針に変えた理由

マンジャロ

当院では、マンジャロを購入していただいた上で自宅に持ち帰り、患者さんご自身の都合のよいタイミングで注射していただくこととしていました。しかし現在は、クリニックで購入していただき、その場で注射する方針に変えました。

理由は以下の通りです。

① 転売・流出のリスクをゼロにする

自宅に持ち帰ったマンジャロが、患者さんの意図に関わらず第三者の手に渡るリスクがあります。
余ったから家族にあげた、友人に頼まれて譲ったという行為も、薬機法上は無許可販売・授与にあたる可能性があります。先ほどお伝えした通り、転売・譲渡は現在行政が厳しく取り締まっている行為です。

クリニックでその場で注射することで、処方したマンジャロが確実に本人に使用されたことが確認できます。患者さんを守るためにも、クリニックとして責任ある管理をするためにも、この方針が最も安全だと判断しました。

② 温度管理を担保できる

マンジャロは冷蔵保存(2〜8℃)が必須の薬です。この温度管理が守られていない場合、有効成分が変質して効果が落ちたり、最悪の場合健康被害につながる可能性があります。

転売品の場合、移動中の温度変化・自宅冷蔵庫の開閉頻度・保管場所など、温度管理が徹底されているかどうかを確認することができません。それに対し当院で購入し、その場で注射すれば、適切な温度管理のもとで保管された正規品を確実にお届けすることができます。

③ 正しい注射方法を確認できる

マンジャロは自己注射が可能な薬ですが、正しい部位に、正しい角度で、正しい量を注射することが重要です。自己注射に慣れていない方が自宅で行う場合、注射部位のミスや、注入量の誤りが起こる可能性があります。

クリニックで毎回注射することで、医師または看護師が正しい方法で確実に投与できます。また注射部位を毎回変えることで、同じ場所への繰り返し注射による皮膚の硬結(しこり)も防ぐことができます。

④ 副作用をその場で確認できる

マンジャロの主な副作用は悪心・下痢・便秘などの消化器症状ですが、まれに重篤な副作用が起きる可能性もゼロではありません。自宅で一人で注射した場合、万が一強い副作用が出ても、その場に医療者がいないため対応が遅れます。

クリニックで注射することで、投与直後の状態を医師・スタッフが確認できます。特に初回投与は体の反応が読めないため、医療機関での投与が最も安心です。

⑤ オンライン診療・処方のみのクリニックとの違い

近年、オンライン診療でマンジャロを処方し、薬を自宅に郵送するスタイルのクリニックが増えています。手軽に始められるというメリットはありますが、上記①〜④のリスクはすべて残ります。温度管理された状態で届くかどうか、自己注射が正しく行われているかどうか、副作用が出た際にすぐ対応できるかどうか、いずれもオンライン診療では担保が難しい部分です。

当院では対面での診察・カウンセリングを行った上で、クリニックで注射します。手軽さよりも安全を優先したい方、しっかり医師に診てもらいながら医療ダイエットをしたい方に選んでいただきたいと思っています。

⑥ 定期的な経過確認ができる

毎回クリニックに来院していただくことで、体重の変化を定期的に確認できます。効果が出ているか、用量を増やすべきか、副作用が出ていないか、を毎回医師が確認した上で次回の投与につなげられるので、より安全で効果的な治療ができます。

自宅注射やオンライン診療の場合、次の診察まで患者さんの状態を把握できない期間が生まれます。当院では毎回の来院が経過観察の機会にもなっています。

一言で言うと

「安く・手軽に」ではなく、「安全に・確実に」。それが当院のマンジャロ治療のスタンスです。

よくある質問Q&A

SNSで安く売られているマンジャロを買っても大丈夫ですか?

絶対にやめてください。薬機法違反であるだけでなく、偽造品・温度管理不備・副作用時の医師フォロー不可など重大なリスクがあります。必ず医療機関で正規の処方を受けてください。

なぜクリニックで注射するのですか?持ち帰ってはいけないのですか?

当院では患者さんの安全のために、クリニックで注射する方針にしています。正しい温度管理のもとで保管された正規品を、医師の管理下で使用していただくためです。

副作用が出た場合はどうすればいいですか?

すぐにご連絡ください。症状に応じて対応いたします。

最後に

マンジャロは処方せん医薬品であり、医師の管理が必要です。
安く手に入れたいという気持ちはわかりますが、転売品を使うことのリスクは価格差をはるかに上回ります。
鹿児島でマンジャロに興味がある方、安全に使いたい方は、ぜひ当院にご相談ください。

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